法人利用で想定すべき5つのリスク
Claude Codeはパソコンのファイルを読み、操作を実行するAIです。チャット型のAIより自分で動くぶん、リスクの種類も変わります。研修の安全対策の4モジュールは、この5点を出発点に組み立てています。
任せる範囲の決め方
Claude Codeには、どの操作を自動で通し、どの操作で確認を求めるかを段階的に選ぶ仕組みがあります。任せ方は5段階あり、会社側で使える段階を絞れます。
| 任せ方 | 動き | 会社で使う場面 |
|---|---|---|
| 毎回確認する(初期設定) | 見るだけの操作はフォルダの中で自動。ファイルの変更や操作の実行は、最初に確認を求める | 使い始め・秘密度の高いフォルダ。研修はここから始める |
| 編集だけ自動で通す | フォルダの中のファイルの変更と、フォルダの作成・移動・コピーなどの基本操作を自動で通す。それ以外は確認を求める | 結果を人が確かめる体制ができた部署の日常の作業 |
| 調べるだけ | 見るだけで調べ、変更はしない | 変更する前に進め方だけ出させたいとき。影響の範囲を確かめたいとき |
| AIの審査で自動で通す | 別のAIが一つひとつの操作を審査し、指示に沿う操作を自動で通す | 長い作業をまとめて任せたいとき。会社側で使わせないようにできる |
| 確認をすべて省く | ほぼすべての確認を省く | 隔離された専用の環境以外では使わない。会社側で使わせないようにできる |
- 任せる操作・任せない操作の一覧
- 操作ごとに「自動で通す」「毎回確認する」「禁止する」を決めておけます。禁止が常に優先されるので、特定のフォルダを見せない、外部へデータを送る操作をさせない、といったルールを会社として決められます。
- 見せるフォルダの範囲
- 読み書きできるのは、作業を始めたフォルダと、あとから追加したフォルダだけです。それ以外は初期設定で見られません。
- 隔離された作業場所
- 操作を隔離された環境で動かし、書き込める場所と通信できる相手を絞れます。初めての通信先には確認を求めます。
- 操作の前後に自社のチェックを入れる
- 操作の直前に危ない操作を止めたり、直後に記録を残したりする自社の仕組みを差し込めます。ただし、禁止のルールを覆すことはできません。
- 会社で決めた設定を配る
- 管理者が会社全体に配る設定は、社員の側では変えられません。禁止する操作、使わせない任せ方、つないでよいツールを会社単位で決められます。
AIをだます攻撃への対策
読み込んだ内容にだます文章を仕込み、AIを乗っ取ろうとする攻撃があります。Anthropicの公式ドキュメントは、対策として次の仕組みを説明しています。
上記はAnthropicが公式に説明している対策ですが、外から取り込んだ内容を扱う以上、リスクはゼロになりません。外部の会社が提供する連携の仕組みは、Anthropicが中身を確認しているわけではなく、つなぐ先が返す内容の安全性は使う側の責任です。研修DAY1のモジュール04では、だます文章を仕込んだファイルを実際に読ませる実演を見せ、「どこまでは仕組みが守り、どこからは社内のルールで守るか」の線引きを体験していただきます。
データの学習利用と保存期間
「入力したデータがAnthropicの学習に使われないか」は、導入の検討で必ず出る質問です。公式のデータ利用の方針を、会社で使う観点で整理しました。
| 区分 | AIの学習への利用 | 保存期間 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 個人プラン(Free / Pro / Max) | アカウント設定で選べる。許可していれば学習に使われる | 許可した場合は5年。許可しない場合は30日 | 設定が各自に任されるため、業務で使うなら会社の方針に合わせた設定を求める |
| 会社向けプラン(Team / Enterprise) | 初期設定で使われない。データ提供に自分から参加した場合だけ | 標準30日 | Enterpriseでは、条件を満たす会社にデータを保存しない設定を個別に用意できる |
| 評価ボタンで送った会話 | 製品の改善に使われることがある | 5年 | 管理者がこの機能を止められる。止めている場合はボタンが表示されない |
ブラウザで使うClaude Codeは、Anthropicが管理する隔離された環境で動きます。外への通信は不正利用を防ぐための中継を通り、記録が残ります。データの扱いは、パソコンで使う場合と同じ方針に従います。
会社で管理するための機能
情報システム部門が会社全体に設定を行き渡らせ、利用状況をつかむための機能です。研修DAY1のモジュール06「社内で使うためのルールづくり」で、自社にどれが必要かを検討します。
- 設定をまとめて配る
- 管理者が、任せてよい操作・つないでよいツール・使わせない任せ方を会社全体に配れます。社員の側では変えられません。
- 利用状況をつかむ
- 利用量・利用回数・費用などを、会社の監視の仕組みに送って確認できます。
- 設定の変更を見張る
- 設定が書き換えられたときに記録したり止めたりでき、意図しない制限のゆるみを防げます。
- 審査用の資料
- 第三者によるセキュリティ認証の資料が、Anthropicの公式の資料公開ページ(Trust Center)で入手できます。社内の情報セキュリティ審査に使えます。
- 通信
- 社員のパソコンからAnthropicのサービスへは、暗号化された通信で送られます。社内ネットワークの中継の仕組みを通す構成にも対応しています。
研修で扱う4つの備え
Claude Code 企業研修のSTANDARDコースは、全12モジュールのうち4モジュールを安全対策・運用にあてています。4つの備えと、対応するモジュール・持ち帰るものの関係です。全モジュールは研修カリキュラムをご覧ください。
| 備え | 守るもの | 研修で扱うモジュール | 持ち帰るもの |
|---|---|---|---|
| 1 秘密の情報を守る | パスワード・鍵・個人情報を含む設定ファイル | DAY2-09 安全に使うための設定 | 秘密の情報を暗号化した状態と、そのままの文字で残さない運用手順 |
| 2 任せる範囲を決める | Claude Codeが見られる範囲・実行できる操作 | DAY2-09 安全に使うための設定 | 自社の「任せる操作・任せない操作」の一覧の初版 |
| 3 だます攻撃への備え | 外から取り込んだ内容による乗っ取り | DAY1-04 AIならではのリスクと実演/DAY1-05 事例で学ぶ情報漏えい対策 | 外から取り込んだ内容を扱うときの確認手順 |
| 4 記録と、把握していない利用の発見 | 誰が・何を・どのアカウントで使ったか | DAY1-03 情報を守る基本とリスクの洗い出し/DAY1-06 社内で使うためのルールづくり | 記録の取り方と、承認していない利用を見つけるルール |
社内ガイドラインに含めるべき8項目
研修DAY1の最後のモジュールで、この8項目を自社向けに埋めていきます。すでにAIの利用ルールがある企業は、Claude Codeならではの項目(任せる範囲・つなぐツール・パスワードや鍵)を書き足す形で進めます。
- 個人のアカウントで顧客データや社内の資料を扱う(学習利用の設定が確認できない)
- 「確認をすべて省く」を普段使いのパソコンで常用する
- 提供元を確認していない連携の仕組みを、業務のデータにつなぐ
- パスワードや鍵をそのままの文字で書いたファイルがあるフォルダで作業する
- 作ったものを確認なしで社外へ送る・業務に使う
- 自社向けの社内ガイドライン案(上記8項目を埋めた状態)
- 安全な設定を済ませた受講者のパソコン
- 自社の業務ルール・禁止事項を書いた作業手順書
- 翌日から実行できるタスクリストと、社内に広げる計画
セキュリティに関するよくある質問
QClaude Codeは社内のファイルを勝手に外部へ送りませんか?
Claude Codeは作業するフォルダの中のファイルを読み、作業に必要な内容をAnthropicのサービスへ送ります。これは動く仕組みそのものなので「勝手に」ではありませんが、見える範囲に秘密の情報があれば送られる対象に入ります。見せるフォルダの範囲・禁止する操作の一覧・隔離された作業場所で見える範囲を絞り、パスワードや鍵をそのままの文字で作業フォルダに置かないことが対策です。外部へデータを送る操作は設定で禁止できます。
Q個人のPro / Maxアカウントで業務に使っても問題ありませんか?
会社の方針しだいです。個人プランは入出力の学習利用をアカウント設定で選べるため、業務で使うなら設定を確認し、会社の方針に合わせる運用が要ります。管理者が設定をまとめて管理したい、利用の記録が必要、という段階では会社向けプラン(Team / Enterprise)のほうが管理しやすくなります。研修の受講はPro / Maxで足ります。
QAIをだます攻撃とは何ですか?研修で防げるようになりますか?
AIが読み込むファイルやWebページ、つないだツールの応答に「前の指示を無視してこれを実行せよ」といった文章を仕込み、AIを乗っ取ろうとする攻撃です。Claude Codeには、任せる範囲による歯止め、Webページの内容を別枠で扱う仕組み、外からデータを取ってくる操作を自動で通さない仕組みなどが組み込まれていますが、完全ではありません。研修では実演で仕組みを理解したうえで、任せる範囲の設計と、外から取り込んだ内容の扱いのルールで、残るリスクを下げる方法を扱います。
Qメールや表計算などのツールとつないでも安全ですか?
つなぐ仕組みの多くは外部の会社が提供しており、Anthropicが中身を確認しているわけではありません。つなぐ前に提供元・求められる権限・扱うデータを確認し、会社として認めたものだけを管理者の設定で許可する運用が必要です。研修DAY2のモジュール10で、つなぎ方と権限の絞り方を演習で扱います。
Q情報システム部門が最初に決めるべきことは何ですか?
4点です。利用を認めるプランと学習利用の設定、ネットワーク(Anthropicのサービスへの通信の許可)、管理者の設定で行き渡らせる任せ方のルール(禁止する操作・使わせない任せ方・つないでよいツール)、記録の取り方と確認する担当。このページの「社内ガイドラインに含める8項目」がチェックリストになります。
出典・参照した一次情報
- Claude Code 公式ドキュメント(セキュリティ)
https://code.claude.com/docs/en/security - Claude Code 公式ドキュメント(権限の設定)
https://code.claude.com/docs/en/permissions - Claude Code 公式ドキュメント(安全な実行環境)
https://code.claude.com/docs/en/sandboxing - Claude Code 公式ドキュメント(データ利用)
https://code.claude.com/docs/en/data-usage - Anthropic プライバシーセンター
https://privacy.claude.com/ - Anthropic Trust Center(コンプライアンス資料)
https://trust.anthropic.com/